
昨年の秋、『古材を使ってキッチンが作れるでしょうか』とお電話を頂きました。
最初は一般的なお答しかできませんでした。
古材と言ってもどんな木が手に入るのか全く予想がつかなかったからです。
『とりあえず、古材を見ましょう。』と一緒に出掛けることになりました。
そこは上郡の会社で古い家を解体した時に出る大きな梁や床板を製材し直して
古材として甦らしていました。
そこで見た木はは想像以上の美しい木材で、何百年もたった今でも、
いや年月を経た今だからこそ奥底から輝く木の美しさがありました。
出会った瞬間、永く使っていただきたい、木を粗末に扱うのではなく
敬意を持って木と向き合いたいと思い続けていた気持ちに
今こそ向かい合うべきだと、心が躍っていました。
僕は家具を作るのに原木を製材するところから始めるべきだと考えます。
木の板は材料の一つととらえがちですが大きな原木から切り出された
板は生命を感じます。
今回は古材を使うというご縁を頂いて改めて木と向き合うことができました。
100年以上育った木を使って立派な家になり長く使われた後、
もう一度材料として生まれ変わり、今度はキッチンとして甦らせる。
途方もない永い時間を経てもなお木としての生命力をを感じずにはいられません。
製作する時もそれまでの気持ちを何度も振り返りながら、
古材を使いたいというお客様の熱意とそれを形にしたいというKitoBitoの気持ちが
ひとつになった古材のキッチンが出来上がりました。
きっかけを頂いた米子のお客様、素晴らしい古材を提供いただいた古材屋さん、
何よりご縁で結ばれた今回のお客様に本当に感謝しています。
これからも木と向き合いながら、ずっと一緒にいたくなるような
キッチンを作っていきたいと思います。
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