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smiley キッチン


出会いは一本の電話から… 嬉しかった電話

 

始めていただいた電話でのお話を今でも忘れることが出来ません。なぜならば、次のようなことを2013年3月のブログに書いていました。

 

『私たちのモノづくり、キッチンづくりへ進んだときの想いが、年月経つと揺らいできたり、多様な方向へ行こうとしたりすることがあります。自分たちの想いだけでは、商売としては成り立たないことも多々あり、いつも悩み進んでいます。』

 

そう思いながら仕事をしていた時に頂いたお電話の主は、家はこうあるべし、キッチンはこうあるべし、というしっかりと時代に流されず、確かな想いをもっていました。その思いが、まさに私たちがキッチン作りをしていて感じていた事を代弁していただいているようにも感じたのです。

 

システムキッチンという言葉がキッチンの世界ではあたりまえのようになっています。使いやすさ、掃除のしやすさ、汚れのつきにくさなど、とても研究され、いろんな種類もあり、選択肢も沢山あります。

『でも、そこじゃないと思うの。大切なところを忘れていると思うの。』
と、そんな風に伝えてくださったように思える言葉でした。 そうなんです。私たちのキッチン作りは、そこから始まったのでした。買い替えを想定したモノづくりをしているわけでは、ありません。一生大切な空間を共にしてもらうモノづくりなのです。ごまかしかしやウソは通用しないでしょう。でも、それが目指すところなんです。


そして、想いを共有する方のキッチンを作ることとなったのです。

 

メールで、私たちの家族のブログをずいぶん前に見ていてくださったことや、リフォームをするときにオリジナルキッチンのKitoBitoを思い出してくださったことが綴られていました。今ご自身の使っているキッチンの写真も添付して、どんな風にしたいのかも教えてくださりました。そして、『粋な職人の仕事を見せてください』と。

 

まずは私たちのところへ行きます。と、遠方にもかかわらず来ていただきました。

そしてどんどんと具体的に打ち合わせが進んでいったのでした。キッチンのリフォーム部分は、床と壁、そしてキッチンだけだということ、今のキッチンとほとんど同じでよい、寸法は同じくらいで、ガス・ガスオーブンはまだ使えるので使いたい、食器洗い機は不要、そのような希望をお聞きしていきました。


リフォーム前のキッチン

 左の写真が、リフォーム前のキッチンです。

ガスもガスオーブンも現役ですので、そのまま使うことに。

水道の排水・給水・給湯の場所も変更なしです。

 

リフォームを担当される工務店のかたと、お客様の家で打ち合わせをしたときに、このキッチン前の出窓の段差を取ろうという話になりました。奥行き63センチの今では少し奥行きのないキッチンでしたので、それはその方が絶対使いやすいだろうと、皆でいいアイディアだと楽しみになったのです。ただ壁つきタイプのキッチンとしては、奥行きの深い87センチが掃除の面からすると、手が届くだろうかと少しだけ不安な面もありました。

 

シンクは幅が90センチほどのものだったのを、80センチの標準タイプのものにして、キッチン全体が上手く収まるように少しキッチン全体の幅を狭くすることになりました。 とはいっても、2メートル80センチ近くあり奥行きも深いので十分な広さのキッチンとなりました。 



材木市場で買い集めていた材料を使いたい

 

材木市にも行くほど木工が好き、材木が好き。今まで市場で気に入った木を買い集めたものをキッチンに使えないだろうか、パッチワークのようにしたいんだ。このような提案をお客様からいただきました。これは、私たちもいつかそんなキッチンをいつか作ってみたいと望んでいたものでした。チャンスがなければできないデザインをお客様から提案していただけ何たる幸せなんでしょうか。

 

そして、預かった材料を製材所で、半割にしてもらい、色々な材料を、キッチンにはめ込んでいきます。お客様が、市場で購入した時の思い出や、材料として持っていた時何度も何度も眺めては、思いをはせていた材料なのです。私たちがキッチンとしての新たな命として吹き込んでいく緊張感も共にありながらの作業です。どこに何を使うか、バランスはどうか、色々と確かめながら、しかし後はそれぞれの木の板を信じて、作り手の感性を信じて、木の場所を決めていきました。

 


表面に出てくる部分は濃い目の色で統一するためチーク材を使いました。

 引き手を合わせて雰囲気の確認。


 古箪笥の取っ手

 

取っ手については、以前いつか使おうと購入していた古箪笥のものを気に入っていたので、大切に残していたそうです。それが使えないでしょうか、といわれて見せていただくと、このキッチンに雰囲気も良く合い、おもしろくて良さそうなので使いましょう。と言う事になりました。古い鉄の取っ手はさびていたので、綺麗に錆を落として使えるようにしました。結局この取っ手がこのキッチンに豊かな表情を与えてくれたのです。smileyキッチンと名前がつけたのもこの取っ手のおかげなのでした。お客様の声、考えというのは、私たちにハッとさせてくれることが多いように感じます。 


 

 

 

いつも

 

近くでsmileを

 

見せてくれる

 

キッチンに

 

なったね。


 

 

手で打った鉄は、

手になじみます。

 

開き戸には、延命長寿で縁起の良いエンジュでつまみを作りました。

これも手になじみます。

 

頻繁に指で触るところなので、

いい色に変わってくるのが楽しみですね。



 天板の奥行きが平らに深くなったら、窓が近くいなったような気持ちになりました。緑も近くに、風も感じます。

『広がりが出たから、料理も作業もすごくしやすくなったんですよ。』 と嬉しそうに話してくれました。 奥のほうは手が届きにくくて掃除がしにくいのではないかと懸念してたのですが、それもなく十分に手が届き掃除も以前のような高さがない分楽になったようです。

 

また、前のキッチンの高さが86㎝だったのを、今回84.5センチにあえてすると、前より使いやすい高さになったと何度も何度もかみ締めるように言われていました。実はこれもお客様の提案だったのですが。 歳を重ねていくと身長は少しづつ少しづつ低くなっていくので、少し低めにするのはどうでしょうかと、相談を受けたのでした。 使ってみると、前より断然使いやすくなりましたとの事。 ほんの15ミリという少しの差でこんなに使い心地が違うんですね、と教えてくださいました。



 いつでも、どこでも笑った顔がみれて、キッチンに立つのが楽しくなってきますよね。

前は、食洗機を食器棚代わりに使っていたので、今回は無しにしました。天板が広いのでゆったりと洗いカゴも2つも置けます。

 

左下写真は、お米を収納するタッパー。

右下写真の引き出しには、ちょうどぴったりサイズの小分けができるトレーを探してきて上手に収納されていました。



左の2段の前板には、松

右の上は欅、下の鏡板は、山桜・枠に栗を使いました。

シンク下は、上から欅、栗、山桜です。

お鍋やボールを収納していますが、シンク下は湿気がこもりやすいので空気を通す隙間を空けました。

 



 保存食のビンを収納する棚は、何種類もご自分で作られていました。もちろん保存食も自家製です。


 

あとは、キッチン正面にタイルを貼るだけですね。希望のタイルは、半年ほどまたなければ手に入らないそうですが、

『ゆっくりと待ちます。急ぐ必要は無い。』と言われていたのが印象的でした。

 

Smiley キッチンが鳥取県米子市へと旅立っていく日、ちょっぴり寂しかったです。素敵なスマイルを私たちにくれていたから。表情も豊かだったから。こんなキッチン、無いですよね。また大好きな大山を右手に見ながら、このキッチンとお客様に会いに行こう。最後になりましたが、私たちは『粋な職人の仕事』をお見せできたでしょうか。

  


 【参考】

キッチン本体材料: 欅・山桜・栗・松・楢・アルダー・チーク 全て無垢材 オイル仕上げ

天板:ステンレス 

I型キッチン:W2767×D880×H845

ガスコンロ・ガスオーブン・換気扇:既存品

水栓:TOTO