いつもと違うキッチンとテーブルの関係

アトリエ珠の大瀧さんが、この『いつもと違うキッチンとテーブルの関係』の使い手となるお客様といしゃっしゃた時、

『キッチンの前に柱があるのだけど、そこを使いながら、テーブルも変わった形で作ってほしいの。』

とのリクエストでした。どこかでキッチンを囲むような楕円のカウンターに座った時に、『こんなキッチンも面白いね。』と言われたお客様の言葉に、『それなら、キトビトに行ってみましょう。』と提案をしてくださったそうです。

私たちも、いつもと違う『面白いキッチン』という言葉に敏感です。オーダーメイドで作っていると、『いつもと違う面白い』は、考えるのも作るのも大変なのですが、それが私たちのような小さな会社でできる仕事。楽しいんですよね、考えてできあがった時が。

リフォームで残さないといけないキッチン前の柱をアクセントにしてしまいました

こちら側から見ると、普通の2列型のキッチンに見えますよね。

リフォームだったので、どうしても外せない柱がありました。配管がここに通っているそうです。これをお客様のお気に入りにしてしまった設計士の大瀧さん。すごいです。

少し変わった形のキッチンカウンター

どんなカウンターにするか、悩みました。繰り返しイラストを描き、日常の生活を想像していくのです。家族での食事のときのことや、奥様が使いやすい形はどうか、リビング側に邪魔になりすぎない形はどうか、などなど考えれば考えるほど、難しかった…

私たちが悩んでいると大瀧さん、『少し優しいカーブがある勾玉のようなテーブルはどうかな?』とアイディアをくださいました。それなら、キッチンにもくっついたまま柱を取り囲んでみよう。と何かもう複雑極まりないようなイメージの作りになるイラストを描いたのです。

大体のイメージができあがった頃に、実際にリフォームの工事も進んでました。そこで、お客様、大瀧さん、工務店の現場監督さん、キトビトとみんなでキッチンとなる場所に集まり、実際の大きさや形をその場で確認する時間をつくりました。テーブルが大きすぎると、リビングが狭くなることから、テーブルは家族が仲良く座れるくらいの大きさに決定しました。

苦労したかいがあり、最終的にはとてもキレイにキッチンとカウンター、そして柱の関係ができあがりました。奥様の指定席は家事の合間にちょっと座りやすい場所です。ガスコンロの下の引き出しは、ザクっと拭いたお鍋など換気をよくするために、少し隙間を開けました。

キッチン天板は人造大理石、本体材料は山桜でつくりました。コンロカウンターには、横から使える棚もあります。
キッチンと柱を飲み込んだようなテーブルカウンターは、優しくカーブして丸いかまぼこ面で優しく仕上げました。

大きくてアンティーク調の素敵なソファーが届いたばかりでした。居心地のよさそうな空間が広がっています。

調味料の数が多いことをあらかじめ聞いていたので、ボトル調味料のために、高さと幅のある引き出しを作りました。たっぷり収納できます。その上には、高くない調味料を入れる引出を。

色んなところに、うわ~!素敵な場所!と思わず写真を撮らせてもらいたいところが。

トイレの手洗いも、水栓や排水パイプもすべて雰囲気を統一できるんですね。

写真ではわかりにくいですが、少し斜めにして面積を広くしてます。

日当たりのよい壁面には、キャットウォーク。カーテンレールの上まで続きます。

昭和中期に建てたお家を設計士の方と一緒にリフォームされ、明るく開放感のあるリビングキッチンが誕生しました。使いやすかった収納部分を残しながら、新たな空間ができ上っています。新しくできた猫ちゃん達の遊ぶスペースには、ご家族の方が笑みがこぼれていました。

今回のキッチンは、リフォームの事情でどうしても外せない柱をどう生かしながら作るか、が課題でした。その柱を巻き込みながらのキッチンとテーブルは、ややこしくて難しかったのですが、意外にも使いやすくてオリジナリティーあふれるものになり、お客様にもとても喜んでいただけました。最初は、悩みの柱だったのですが、無くてはならない柱にしてしまった設計士の方の力量もすごいです。

新しくなった我が家で、猫ちゃんたちとの時間を家族みんなで楽しむことが増えますね!

KitoBitoでは、施主の方や設計士の方、工務店さんとのじっくり打ち合わせを重ね、自分だけのオリジナルキッチンの提案、製作をしています。今回も、最初は実際にKitoBitoに来ていただきご希望をお聞きして、その後、伺ったりメールや電話でのやり取りをして、このようなキッチンを作り上げました。施主の方のご希望はもちろんの事、設計士の方や工務店さんとの打ち合わせをすることで、お部屋全体の雰囲気にあったキッチン作りを心がけています。このキッチンも、使い手となる施主のご夫婦に大変喜んでいただくことができ、心から関係者の皆さんに感謝しています。ありがとうございました。