木の家に、木のキッチン

自然素材が好きだから、木のキッチンを選ぶ

1週間の東京出張から帰ってくると、留守番電話に問い合わせの伝言を残してくださっていたのが、このお家の奥様でした。それから数日後ご夫婦でいらっしゃってくださったお二人は、とても穏やかで優しく、自然が好きでリタイアするまでの仕事も自然とのかかわりのある事など、とても興味深い話をしてくださいました。

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そして、一戸建ての家のリフォームをするので、キッチンをお願いしたいとご依頼くださいました。私たちのキッチンをご依頼してくださる方々の、バックグラウンドを聞くことは、とても楽しいです。そうしているうちに、キッチンに対してのご希望で、私たちがなぜ?と思う事も、納得いく答えがでてきます。

木の家の木のキッチン、山桜のキッチン

リフォームも色々とあります。キッチンだけ変える場合や、キッチンその他の水を使う所を直す場合、そしてキッチン+床や壁も一緒に直す場合、大掛かりに家のほとんどの部分を本格的にリフォームする場合がありますが、今回は床の張替えと共にキッチンを新しくするリフォームでした。

リフォームを担当するのは初めて一緒に仕事をさせてもらう兵恵建設さん(岡山県津山市)でした。壁への収まりや、電話回線などの配線位置についても、念入りに打ち合わせをしてもらいました。

造作キッチン、木のキッチン

今回は遠くない現場のため、リフォーム前の内装を見せてもらうのに、一度伺うことにしました。キッチンのある空間は、無垢の木が床だけでなく、壁や勾配天井に多く使われていました。部屋の窓からは、いろんな種類の手入れされた木々が見え、法面から爽やかな風が昇って入ってきて、それだけで豊かな気持ちになれる暮らしをされているのがうかがい知れました。住空間と人柄が一致しているんです。

壁の木の色を見ながら、気に入って下さっていた山桜は、経年変化でこの部屋にすごく馴染んでいくだろうと思い、山桜で作ることに決定。天板は部屋に明るい印象を与えてくれる石目調の白い人造大理石に決まりました。

その他のご希望は、

  • ●フラットで広々とした天板
  • ●シンク前にはお皿洗いの時によりかかれる「腰当て」
  • ●お鍋を入れるところは、引き出しの前板に少し隙間をあけて欲しい
  • ●テーブル側にも全面収納が欲しい。特にA4のファイルや本を入れたい。
  • ●年に数回しか使わないファックスもテーブル側に収納しておきたい。
  • ●4か所のコンセントの希望
  • ●2人で洗い物をするのに適したシンク

といったところでしょうか。水栓はリクシルのタッチレス水栓を使った同じ年代のお客様が、大変使いやすいと言われていたのを伝えると実物を見に行かれて、そうされました。

桜のキッチン

【シンク前の腰当ては、食洗機の無い方に好評です。洗い物をするときに寄りかかれます。】

ご夫婦共に、すらっと長身のため、高さ86㎝のキッチン高になりました。リタイア世代の方の中では高さがあるキッチンです。

【トースターとコーヒーメーカーを使うときだけ天板に乗せて使用するので、コンセントをここにつけました】

【掃除機用のコンセントがあちこちにあると便利なので、ここに。】

【お鍋やフライパンを気兼ねなく入れるため、ステンレスのパイプ(上)とステンレスの薄い板(下)を入れています】

【テーブル側にはA4ファイルが入る奥行を取りました。リビングキッチンにはいろんな役目があります】

【ご希望の中央に水栓、右側に洗剤用カゴがつくシンクを探しました】

テーブル側の収納は、最初は全てA4ファイル用に考えていたのですが、打ち合わせが進んでいくと、既存のキッチンの役割が再確認出来て、1列分引出しを作ることにしました。奥行は浅いのですが、細かいものを収納するのに、あって良かったものになりました。

A4ファイルの入るところの背板は、収納をしていくと見えなくなってしまうので、突板でもいいかなと思ったのですが、『ここは無垢材がいいですね。ちらっと見えたときに無垢材だと気持ちいいです。』と言われたので、『白太が入った材料でもいいですか?コストダウンにもなるだけでなく、モノを入れるとそこまで見えなくなるので。』とご提案して、白太を含めた材料を使いました。最初は色の濃淡がわかるのですが、経年変化で色の差が減ってきます。

いつも穏やかな奥様と一緒に行った愛犬のお散歩では、奥様と愛犬の全速力で走るスポットがあり、驚かされた一面がありました。また、キッチンから常に見える木々の葉の心地よさは、ご主人のお手入れのたまものなんだと思います。部屋の中では、床をきれいに張替え、新しいキッチンで心地よい風を感じながら、2人で仲良く食事の準備や片付けをされているのが目に浮かびます。

今回もまた私達も心地の良い仕事をさせていただきました。ありがとうございました。